著者
山口 柏樹
出版者
公益社団法人地盤工学会
雑誌
土質工学会論文報告集 (ISSN:03851621)
巻号頁・発行日
vol.23, no.4, 1983-12-15

筆者は地下構造物の耐震性についての総論を述べている。地震と地盤災害の一般に関して, 地下構造物は地上構造物に比べて地震時に加わる加速度がほぼ1/2程度で, 耐震上安全であるとされているが, 実際には亀裂, 液状化, 地すべりといった被害が生じていることを述べている。また液状化に関しては, 設計指針のばらつきや地震波の取扱いに問題はあるけれども地盤の耐震指針としては今日最も確立したものである。むしろ問題なのは地中構造物の設計上の問題であると述べている。また地中構造物に対する地震の影響, 地震時の土圧, 横型トンネル式地下タンクの耐震設計, 掘削による地山のゆるみについて述べられており最後に結論として, 地下タンク建設用地としてできるだけ均一性に富む地点を選定すること, 大地震の起こりやすい地域では, 耐震時考慮を十分に行うことが望ましいがいたずらに丈夫なものを作るのは不経済である。地下躯体にき裂等の多少の損傷が生じても, 大きな破壊に至らないだけの靭性を確保し, 別途に漏雨を防ぐシステムを設けることが重要であると述べている。