著者
山地 早紀 吉川 ひろみ
出版者
日本作業科学研究会
雑誌
作業科学研究 (ISSN:18824234)
巻号頁・発行日
vol.14, no.1, pp.41-49, 2020-12-25 (Released:2020-12-31)
参考文献数
16

本研究の目的は,高齢者の「人生を代表する作業」との出会いとプロセスについて明らかにすることである.本研究では,人生の中で長年行っていること,夢中で行っていること,自分を表すのにピッタリなものを「人生を代表する作業」とした.対象者は,地域在住の75歳から90歳の 8 名(男性 5 名,女性 3 名) の「人生を代表する作業」のある高齢者で,半構造的インタビューを用いて,逐語録を作成し,グラウンデッ ド・セオリー・アプローチを参考に分析を行った.分析により,【環境の影響による開始と継続】,【時間とともに強まる結び付き】,【作業が生み出す魅力】,【自分と環境に合わせた調整】,【能力や経験の活用】,【継続 の意思】の 6 つのカテゴリーが出現した.「人生を代表する作業」は,環境の影響により始まり,継続され, 時間と共に結び付きを強め,継続の意思を示すものであった.そしてその出会いとプロセスには,作業が生み出す魅力や自分と環境に合わせた調整,自分の能力や経験の活用が影響していた.