著者
山地 裕 馬嶋 健一郎 和田 亮一 光島 徹
出版者
一般社団法人 日本消化器がん検診学会
雑誌
日本消化器がん検診学会雑誌 (ISSN:18807666)
巻号頁・発行日
vol.55, no.5, pp.666-675, 2017 (Released:2017-09-27)
参考文献数
19

我々は便潜血検査免疫法(IFOBT)1日法と同時に実施した大腸内視鏡検診の成績から, IFOBTの感度と無症候者における大腸腫瘍有病率について報告してきたが, このデータセットを用いて陽性反応適中度(PPV)の推定を行った。初回の内視鏡検診の結果を検診対象者の大腸腫瘍の有病率として適用し, また通常の検診で行われる2日法の場合の推定のため, 1回ごとの各病変の陽性率が1日法の成績と同一, かつ1回ごとに独立である, と仮定した。浸潤癌に対するPPVは, 40歳代男性では2日法1回のみ陽性で0.3%, 2回陽性では10%, 女性は1回陽性0.7%, 2回陽性19%と推定された。同様に50歳代男性1.7%と26%, 女性0.8%と15%, 60歳代男性4.1%と49%, 女性2.9%と44%と推定された。同じ便潜血陽性であってもPPVは年齢とともに上昇し, また2日法2回陽性者は1回陽性の場合に比べ格段に高リスクと考えられた。