著者
橋本 正史 山岸 豊
出版者
Japan Society for Atmospheric Environment
雑誌
大気環境学会誌 (ISSN:13414178)
巻号頁・発行日
vol.39, no.3, pp.119-136, 2004-05-10 (Released:2011-12-05)
参考文献数
55

多環芳香族炭化水素 (PAH) の毒性は, ダイオキシンと同様にアリルハイドロカーボンリセプター (AhR) を介して起きることがよく知られているが, このメカニズムを中心に, 発がんに関連する生物学的反応と両物質のこの反応に対する関与の態様について概説した。その上で, PAH混合物の健康リスクを評価する手法について, これまでのアプローチを概括した。その中で, すでにダイオキシン類で採用されている方法である個別のPAHの毒性を積算して評価する手法 (Relative Potency Factor Approach) について概説し, 併せて著者らが開発した発がんメカニズムに基づいた健康リスク評価手法 (誘導変異原性法) について詳述した。