著者
江田 英雄 山崎 まどか
出版者
公益社団法人 日本生体医工学会
雑誌
生体医工学 (ISSN:1347443X)
巻号頁・発行日
vol.56, pp.S145, 2018

<p>非観血的血圧計測手法の標準は水銀柱式血圧計測である。しかし十分に訓練を受けた者か有資格者が計測しなければ、水銀柱血圧計測で信頼しうる血圧値を得ることは困難である。また環境への配慮から水銀を用いない計測装置が必要とされている。一方、光技術を用いて脈波を計測し血圧推定値を計算する手法があり、カフレス連続血圧計の実現に向けて期待されている。本研究では、水銀柱式血圧計と光センサモジュールを同時計測することによって、水銀柱式血圧計測値と、カフレス連続血圧推定値とを比較した。対象は、医療系学科に在籍する大学生、及び、民間企業に在籍する健常人とした。右上腕部に水銀柱式血圧計のマンシェットを巻き、マンシェットの内側に光センサーモジュールを、右上腕動脈が触れる位置近傍に装着・固定した。水銀柱血圧計にて通常の血圧測定を行い、同時に光センサーモジュールによる連続血圧推定値を観察した。連続血圧推定値は加圧の後、減圧後約20秒以内に安定した値を示し、この値を光センサーモジュールによる血圧推定値とした。各被験者に対し、2回血圧測定をして、水銀柱血圧計計測値と光センサーモジュールによる血圧推定値の相関をBland-Altmanプロットで検討した。通常の水銀柱血圧計測で必要とされる安静時の計測では、両者は高い相関を示した。</p>