- 著者
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田中 廣壽
吉川 賢忠
山崎 広貴
上原 昌晃
小田 彩
- 出版者
- 一般社団法人 日本内科学会
- 雑誌
- 日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
- 巻号頁・発行日
- vol.107, no.7, pp.1373-1384, 2018-07-10 (Released:2019-07-10)
- 参考文献数
- 24
- 被引用文献数
-
1
骨格筋は,運動や姿勢保持のみならず,全身のエネルギー代謝調節においても基幹的役割を担っている.近年,骨格筋によるエネルギー代謝調節は,栄養状態のみならず,筋が受ける機械的刺激(張力等),酸素濃度,性ホルモン,時計遺伝子産物等の多彩な因子によって精緻な調節を受けることが明らかになってきた.また,骨格筋由来の代謝産物やサイトカイン様物質が他臓器機能を異所性に制御することも注目されている.今回,筆者らは,ステロイドによって誘発される筋萎縮(ステロイド筋症)の克服に向けて,骨格筋量制御におけるステロイドとその受容体の役割とともに,骨格筋―肝臓―脂肪シグナル軸を発見し,骨格筋による遠隔臓器の代謝,特に脂肪組織制御の分子機構の一端を解明した.本研究は,骨格筋と個体レベルのエネルギー代謝との連関―メカノ―メタボ カップリング―を医療に応用・展開する新しいパラダイムの構築に貢献するのみならず,多数の臓器システムの連関から生体を理解することの重要性を示している.