著者
福中 彩子 山崎 智弘 藤原 奈央子 増田 誠司
出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
化学と生物 (ISSN:0453073X)
巻号頁・発行日
vol.46, no.2, pp.90-100, 2008-02-01 (Released:2010-12-24)
参考文献数
31

高等真核生物では,タンパク質をコードするmRNAは,核内で合成され,5' 末端のキャッピング,スプライシング,3' 末端のポリアデニル化といったプロセシングを受けることで,成熟したmRNAとなる.成熟mRNAは,核膜孔を通過して細胞質に移動し,タンパク質翻訳の鋳型となる.この際,mRNAに不都合があればタンパク質をつくることなく分解される.一方,翻訳の鋳型として働いたmRNAも,最後には役目を終えて分解される.これらの過程に関わる因子と,各過程を共役する因子が同定されたことによって,mRNAの生合成から分解までの全体像が少しずつ明らかになりつつある.遺伝情報の伝令役であるmRNAが生合成されてから分解されるまでを,最新の知見を織り交ぜて紹介する.