著者
山崎 正寿
出版者
一般社団法人 日本東洋医学会
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.72, no.2, pp.119-123, 2021 (Released:2022-07-29)
参考文献数
4

起立性調節障害は今日思春期の疾患としてまた社会的問題として,その治療が注目されている。今回小児心理学会の診断基準による起立性調節障害と思われる10症例に,漢方医学的診断と治療を実施して,凡てで改善をみることができた。この10例を分析したところ,起立性調節障害を引き起こす背景として,血証,水毒,心身症的要因などが見いだされ,血証には加味逍遙散,温経湯,当帰芍薬散を処方,水毒には五苓散合九味檳榔湯,苓桂朮甘湯を処方,心身症的要因には柴胡桂枝湯,柴朴湯を処方した。現代医学的治療では治療効果が不十分であり,漢方医学的診断と治療が大変有効であると考えられる。