著者
鈴木 愛弓 山川 知巳 大西 文夫 三鍋 俊春
出版者
一般社団法人 日本乳房オンコプラスティックサージャリー学会
雑誌
Oncoplastic Breast Surgery (ISSN:24324647)
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, pp.17-21, 2019-03-28 (Released:2019-03-30)
参考文献数
6

乳房の形態は立位で下方へ懸垂した状態であり, 仰臥位では乳房が外側上方へ移動する。よって, 乳房再建手術で術中座位が必須となる。当院での乳房再建術中の体位変換の方法を述べるとともに, その所要時間や注意点について検討した。座位の方法は, 手術台上仰臥位にて腰と台の屈曲点を合わせる。必要ならば, 台を頭側に延長する。膝関節に約10cmのクッションを挿入し, 大腿・下腿の2ヵ所を抑制帯で固定する。両上肢は開大位で仮固定, 消毒して術野で調整可能とする。術中の体位や肢位の変更で, 乳房下溝や下垂量, 乳房外側の膨らみ, 前腋窩ヒダにおける左右対称の形態確認ができた。インプラント再建では準備時間に対し手術時間の割合が大きく, 自家組織再建よりも非効率的であった。小さい乳房では肢位の影響が小さく, 上肢の消毒が省略できると考えた。また, 上半身の傾きに注意を要した。