著者
山本 伊都子
出版者
日本クリティカルケア看護学会
雑誌
日本クリティカルケア看護学会誌 (ISSN:18808913)
巻号頁・発行日
vol.13, no.3, pp.71-82, 2017-10-01 (Released:2017-10-01)
参考文献数
29
被引用文献数
2 2

本研究は,ICU看護師は看護実践においてどのような困難さを感じているのか明らかにし,看護実践に対する困難さと職務継続意思との関連を明らかにすることを目的とした. ICUで働く看護師199名(平均年齢31.8歳,ICU経験年数56か月)を対象に自記式質問紙調査を実施した.調査内容である看護実践に対する困難さ,職務継続意思については,ICU看護師33名からのインタビューデータから質問項目を作成した.因子分析を行ったところ,看護実践に対する困難さは5因子,職務継続意思は1因子となり,Cronbach αはそれぞれ0.8以上が得られた. 対象者の74.9%は自分の1つ1つの行為が患者の命を左右していることにこわさを感じ,71.3%は瞬時の判断が求められることに難しさを感じていた.また,重回帰分析の結果,看護実践に対する困難さの1因子である「緊迫した状況に身を置きながら看護を続けることの難しさ」とICU経験年数は職務継続意思に負の影響を及ぼしていた.