著者
山本 健治
出版者
佛教大学
雑誌
佛教大學大學院紀要 (ISSN:13442422)
巻号頁・発行日
vol.36, pp.91-101, 2008-03-01

本研究では、青年期の精神的自立の課題について、職業観や勤労観、また親子関係を含む対人関係との関連から考察を試みた。方法としては、高校生を対象にこれらのことに関する意識調査を実施し、その結果について分析した。同時に「ひきこもりの心理特性」を測る調査を実施し、抽出されたそれぞれの因子と前述の職業観・勤労観及び対人関係との関係を回帰分析等を用いて精査した。その結果、ひきこもりの心理特性を持つ者は、学業から職業への移行について、さまざまな不安を抱えていることが明らかになった。対人関係においても、信頼できる人や、困ったことを相談できる人の存在に乏しく、信頼感に基づいた一体感を感じられないでいることがわかった。それらの要因を探るなかで、生来の個性とは別に、幼児期、児童期から連続する発達課題の問題として、この問題を捉え直すことが重要である。精神的自立ひきこもり心理特性職業観対人関係