著者
ホドシチェク ボル 山本 啓史
雑誌
じんもんこん2017論文集
巻号頁・発行日
vol.2017, pp.207-212, 2017-12-02

本稿の目的は、歌ことばの辞書を開発するにあたり、従来の「見出し語とその解説」による辞書記述に加え、「見出し語 関連語」形式の関連対の追加を提案することである。関連対によれば、従来の辞書に不足していた語と語を取り持つ関係概念を示すことができるだけでなく、古代語の意味記述の困難さを解消する方法であることを示す。和歌を題材とするネットワーク構造のデータから、見出し語(梅、桜、橘)との関連対となる語の抽出を試みた。R パッケージlinkcomm (Kalinka and Tomancak 2011)の3 種の計算方法を用いて行った結果、どの計算方法においてもほぼ同様の抽出ができ、それら語は和歌の文脈において各見出し語の関連対として取り出せたことが確認できた。