著者
村田 正秋 山本 富嘉 浜田 康弘
出版者
The Geodetic Society of Japan
雑誌
測地学会誌 (ISSN:00380830)
巻号頁・発行日
vol.37, no.1, pp.31-42, 1991

GPS(全世界測位システム)衛星の軌道決定システム(MSOP)を開発した.MSOPは多衛星同時軌道決定プログラムで,疑似距離データからGPSの宇宙部分を構成する衛星群の軌道を同時に決定することを目的としている.ここでは,太陽輻射圧とyバイアスのモデリングを中心に,GPS衛星の精密軌道決定のための手法を検討し,実際にCIGNETデータによって軌道決定実験を行ない,GPSの測地利用に望まれるサブppmの衛星位置精度が達成されていることを示す.軌道精度の評価は,CIGNETのPコード疑似距離データからMSOPによって決定された軌道を,米海軍兵器センター(NSWC)の精密暦と直接比較することによって行なう.その結果,疑似距離によるGPS衛星の軌道決定精度はa全衛星平均で10mすなわち0.5ppmより良好であることが示された.