著者
濱田 輝一 岡田 裕隆 福留 英明 山本 広信
出版者
JAPANESE PHYSICAL THERAPY ASSOCIATION
雑誌
日本理学療法学術大会
巻号頁・発行日
vol.2008, pp.G3P3564-G3P3564, 2009

【目的】<BR> 今回初めて学生を実習に送り出し、また実習開始前までの学習成績結果であるGPA( grade point average)が集積できたことから、入学直後のアパシー傾向得点との関係を知ることで、今後の学生指導に有用ではとの観点からこの関係について検討したので報告する.<BR><BR>【方法】<BR> 1.データの得点は、それぞれの得点は以下の通りとした.1)アパシー傾向:鉄島らのアパシー傾向尺度31項目.尚、検討の前段階として集団としての均一化の為現役のみとし、かつ各尺度への回答の信頼性保持の為の社会的望ましさ尺度で不適当と判断されたものは除外した.また、全体傾向の把握を本位とすることから、男女差がないことを確認し検討を行った.2)GPA:大学において世界標準的に学生評価として用いられているもので、本学で運用されてきた成績評価とした.各科目の評点は、A(80~100点)を4点、B(70~79点)を3点、C(60~69点)を2点、再試合格者D(60点)を1点、F(59点以下)を0点の5段階とした.この評点を基に、全科目を合計し、登録履修した科目数で除し、GPA(スコア)とした.<BR> 2.検討課題: 前記2者の全体傾向の把握を主体とし、加えて専門科目のみのGPAとアパシーとの関係や、実習履修が可能となった群とそうでない群との関係も検討した.尚、対象となったのは、57名で、内訳は実習履修可群47名、否群12名であった.<BR><BR>【結果】<BR> アパシーGPAの関係は以下の通りとなった.1) 全員でみた場合:全科目、専門科目共に、r=0.32、0.33で関係は見られなかった.2)実習可能群と不可群での比較(1)群間の差異;統計的に優位な差は見られなかった.(2)全科目での関係;P<0.01、r=-0.50となった.(3)専門科目での関係;P<0.01、r=-0.52となった.<BR><BR>【考察】<BR> 以上の結果から、アパシー傾向の高い程GPA得点が低くなり、一方アパシー傾向が低い程GPA得点が高くなることが、全履修科目や専門科目でも言えることから、入学時のアパシー得点からその後の学業成績も予測でき、学生指導の一助となることがわかった.今後は、未終了の実習成績が得られた後、さらに検討していきたい.