著者
山本 弘江 池田 真理
出版者
公益社団法人 日本看護科学学会
雑誌
日本看護科学会誌 (ISSN:02875330)
巻号頁・発行日
vol.41, pp.106-113, 2021 (Released:2021-07-29)
参考文献数
21

目的:産後うつ病をパートナーが評価するスクリーニング尺度EPDS-P日本語版を作成し,産後1か月時点の父親による母親の産後うつ病の兆候を検出しEPDS高得点者の発見につなげることができるか検討した.方法:EPDS-P日本語版を作成し,1か月児健康診査を受診した健康な児を育てる夫婦147組を対象に,無記名自記式質問紙調査を実施した.結果:母親のEPDSと父親のEPDS-Pの間にrs = 0.27の有意だが弱い相関が認められた(p < 0.01).EPDS-Pのクロンバックα係数は0.83であった.EPDSのカットオフ値(9点)を仮にEPDS-Pのカットオフ値とした時,EPDS陽性者の母親を検出する感度は50%,特異度は83%であった.母親のEPDSと父親のEPDS-Pの対応する項目1,3,7,8,9の5項目と産後うつ病の身体症状3項目(食欲の変化,睡眠の変化,易疲労性)に有意な相関が認められた.結論:EPDS-Pを活用したパートナーによる産後うつ病の早期発見の可能性が示唆された.