著者
山本 志都
出版者
多文化関係学会
雑誌
多文化関係学 (ISSN:13495178)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.67-86, 2014 (Released:2017-03-28)

本研究は、文化間の差異性の認知、および、その位置付けや評価に関わる異文化感受性が、日本でどのような世界観により経験され体現化されているか明らかにすることを目的とする。そのために、Milton Bennettの異文化感受性発達モデル(A Developmental Model of Intercultural Sensitivity)を基にして、日本における異文化感受性を検討する。DMISには、文化の次元や種別に関わらず、同じ異文化感受性が適用されると見なす前提があるが、対象となる文化のカテゴリーが異なっていても、認知の構造は実際に同じであるか、日本の文脈から異文化感受性を明らかにする研究の流れの中で、この点についても検証する。調査では「国」、「地域」、「専門・組織」と複数の文化のカテゴリーを用いたが、本論文は一連の研究分析の最初の報告として「国」に焦点をあてる。予備調査として質的研究を行い、その結果を本調査で用いる質問紙の項目として使用して、5県に住む20歳以上の男女1000名を対象にインターネット調査を行った。探索的因子分析の結果、F1「違いの克服」(F1-1「曖昧化」、F1-2「積極性」)、F2「違いへの不関与」(F2-1「拒絶」、F2-2「逃避」)、F3「違いの容認」(F3-1「譲歩」、F3-2「尊重」)、F4「違いの内面化」、F5「違いの無効化」、F6「無所属感」、F7「違いへの憧れ」の因子を抽出した。サブカテゴリーまでを含めた因子間の関係を見るために確認的因子分析を行った。因子間の相関係数および概念的意味より、自文化中心的あるいは文化相対的な世界観を示す因子が特定された。また、その双方の世界観をつなぐ中継的役割と解釈できる因子のあることが明らかになった。これらの結果に基づき、抽出された因子とDMISとの関連性および日本での異文化感受性の表れ方の特徴が検討された。