著者
茅 暁陽 長坂 好恭 山本 茂文 今宮 淳美
出版者
芸術科学会
雑誌
芸術科学会論文誌 (ISSN:13472267)
巻号頁・発行日
vol.1, no.3, pp.147-159, 2002 (Released:2008-07-30)
参考文献数
24
被引用文献数
4 2

本論文は,流れ場の可視化手法として近年注目されているLIC(Line Integral Convolution)法を利用し,2 次元画像を自動的に鉛筆画に変換する手法を提案する.LIC 法では,流線上に定義されているローパスフィルタを用いてホワイトノイズを畳み込む処理を行うため,出力画像には明るさにばらつきをもった線状の軌跡が見える.このような軌跡で鉛筆のストロークを近似し,入力画像のトーンにマッチしたホワイトノイズとストロークの方向を表すベクトル場にLIC 法を適用することで鉛筆画を生成する.従来のCG による鉛筆画の表現法は,個々のストロークをポリラインという幾何学的プリミティブを用いて表現するため,複雑なデータ構造が必要な上に,トーンのマッチングやクリッピング処理などにも多くの時間を要していた.それに比べて提案手法は,簡単なフィルタリング処理を施すだけで入力画像にマッチしたトーンをもった鉛筆画を生成することができる.本論文ではさらに,入力画像のテクスチャをより自然に表すためのストローク方向決定法も併せて提案する.