著者
加藤 史彦 山洞 仁 野田 栄吉
出版者
水産庁日本海区水産研究所
雑誌
日本海区水産研究所研究報告 (ISSN:00214620)
巻号頁・発行日
no.33, pp.p41-54, 1982-12

日本海におけるマスノスケの漁獲記録は,現在までにMASON(1965),本間・水沢(1966),深滝(1968a,b),小山ら(1978),小山(1979),HONMA・KITAMI(1980)および今野(1980)により合計13例が報告されている。今回,筆者らはそれ等の記録以外の13尾の漁獲事例を収集し,数尾の標本の生物測定を行った。そして,日本海に来遊するマスノスケの起源等に関して若干の考察を加え,以下の結論を得た。1. 1974年から1976年の間に,新潟県佐渡島において,4尾のマスノスケの漁獲記録が新しく確認され追加された。2. 1979年と1980年にはそれぞれ6尾のマスノスケが漁獲された。これは日本海における一年間のマスノスケの漁獲尾数としては最高の数である。3. 1979年5月31日の福井県河野村大谷における漁獲記録は,日本海沿岸におけるマスノスケの分布の南限を書き変えたことになる。4. 1979年および1980年において,マスノスケの漁獲位置は時期を追って,地理的に北から南へ移る傾向があり,魚群の南下移動が想定された。5. 漁獲されたマスノスケはいずれも体重が10kgを超す大型個体であった。1979年5月4日に山形県加茂で漁獲された全長108.3cm,体重16.75kgの個体,および同年5月16日に新潟県瀬波で漁獲された全長101.7cm,体重15.6kgの個体は,いずれも淡水域で1年,海洋で4年を過した1.4年魚であった。また,翌年5月8日に,同じく山形県加茂で漁獲された全長114.5cm,体重20.0kgの個体は1.5年魚で,前年に漁獲されたマスノスケと同一年級群であった。6. 1963年に太平洋側の茨城県沿岸でみられた冷水域の拡大とマスノスケの多獲現象との対応は,日本海ではみられなかった。7. 本州日本海沿岸に来遊するマスノスケの起源河川は,鱗相等から判断すると,日本海に面した大陸側の低緯度地方に存在すると推定された。