著者
伏信 進矢 山田 千早 荒川 孝俊 北岡 本光
出版者
一般社団法人 日本応用糖質科学会
雑誌
応用糖質科学:日本応用糖質科学会誌 (ISSN:21856427)
巻号頁・発行日
vol.10, no.2, pp.103-108, 2020-05-20 (Released:2021-06-01)
参考文献数
30

レボグルコサン(LG)はグルカンの熱分解で生じるグルコースの1,6-アンヒドロ糖であり,LG資化性の真核微生物から得られたLGキナーゼとそれを利用した研究は近年大きな進展がみられた.我々は先行研究をもとに細菌Pseudarthrobacter phenanthrenivoransからLG脱水素酵素(LGDH)を取得しその生化学的性質及び構造と機構を明らかにした.LGDHはLGとNAD+に特異的な活性を示し,3-ケトレボグルコサンを生成する酸化反応を触媒することがわかった.さらに,LGDHの結晶構造をNADH及びLGとの複合体を含めて決定することに成功し,その構造的特徴や基質認識,反応機構などを明らかにした.LGを含むアンヒドロ糖はバイオマス燃焼や農産物熱処理などで大量に生じていることから,それらを資化できる微生物とその酵素の研究は近年ますます盛んになっている.今後は,真核微生物由来のLGキナーゼだけでなく,細菌由来のLGDHの利用研究も発展すると期待される.