- 著者
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山田 和宏
- 出版者
- 公益社団法人 日本皮膚科学会
- 雑誌
- 日本皮膚科学会雑誌 (ISSN:0021499X)
- 巻号頁・発行日
- vol.82, no.11, pp.1079, 1972 (Released:2014-08-26)
著者は,4種の外用コルチコステロイド剤(0.25%17-α-desoxymethasone,0.2%~0.025% fluocinolone acetonide,0.12% betamethasone 17-valerate,0.02% flumethasone pivalate)を用いて,正常皮膚2例と病的皮膚(尋常性乾癬)10例における全身的影響の有無を下垂体副腎皮質機能と電解質(尿中または血中)の面より検索した.その結果(i)大量の外用コルチコステロイド剤を病的皮膚に,全身の単純塗布で用いた場合とODT療法で用いた場合の両方に,明らかな下垂体副腎皮質系の抑制(循環好酸球数並びに血中コルチコステロイド値の減少,尿中17-OHCS値の低下)がみられ,全身的影響が惹起されることを認めた.その抑制は,処置を中止すると,2~3日で元の値に復帰する事から,一時的である事も判明した.(ii)さらに正常皮膚における検索でも,大量のコルチコステロイド剤をODT療法で用いると,病的皮膚におけると同様に,下垂体副腎皮質系への抑制傾向がみられ,全身的影響出現の可能性を認めた.