著者
山田 恵太
出版者
法と心理学会
雑誌
法と心理 (ISSN:13468669)
巻号頁・発行日
vol.18, pp.3-5, 2020 (Released:2020-04-05)

近年、障害のある人、特に知的障害、発達障害、精神障害等のある人が、刑事手続における被疑 者・被告人になっている事案について、注目が集まっている。刑務所に障害のある人や高齢の人が 多くいるという問題が明らかとなったことを発端として、そのような人たちを刑事裁判の段階から 支える「入口支援」にも目が向けられているのである。そして、その 1 つとして、弁護士と社会福祉 士等のソーシャルワーカーが連携し、ソーシャルワーカーに「更生支援計画」と呼ばれる支援計画を 作成してもらった上で、これを捜査や公判の場面で被疑者・被告人に有利な証拠として扱う活動が 行われている。本報告では、このような更生支援計画を作成する活動の紹介に加え、実際に更生支 援計画を作成してもらい、公判において立証し、これが量刑上有利に斟酌された事例について報告 した。あわせて、福祉的支援を考える上で、身体拘束中の被疑者被告人に対する意思決定支援のあ り方の問題が存在することなど、今後の課題についても報告した。