著者
糸井川 高穂 村田 智明 古賀 誉章 山田 昭徳
出版者
一般社団法人 日本人間工学会
雑誌
人間工学 (ISSN:05494974)
巻号頁・発行日
vol.54, no.2, pp.56-64, 2018-04-15 (Released:2019-07-12)
参考文献数
12
被引用文献数
1

本研究の主な目的は,判別の容易なエレベータの開閉ボタンのデザインを提案し効果を検証することである.そのために,大学生を被験者とした3種類の実験を行った.エレベータの開閉ボタンのデザインを構成する要素として,イラスト,地の色,イラストの色,サイズ,振り仮名を設定した.イラスト毎の判別の容易性を明らかにする一つ目の実験では,三角および人をテーマとしたイラストで誤判別が生じやすいことがわかった.デザインの因子毎に判別の容易性を明らかにすることを目的とした二つ目の実験では,イラストでは顔,地は白,開ボタンのみ幅を1.25倍としたデザインが最も判別を容易にすることがわかった.判別の容易性を高める因子の効果の検証を目的とした三つめの実験では,各要素の最適組み合わせだけでなく,一般的なイラストの部分最適化においても,誤判別を低減させる効果を得た.以上より,本研究では,エレベータの開閉ボタンの判別を容易とすることを目指したイラストを提案するとともに,そのイラストを含むデザインを構成する要素毎の判別の容易性を明らかにした.