著者
山田 真希子 須原 哲也
出版者
日本生物学的精神医学会
雑誌
日本生物学的精神医学会誌 (ISSN:21866619)
巻号頁・発行日
vol.28, no.4, pp.191-195, 2017 (Released:2019-07-30)
参考文献数
16

うつ病の認知心理モデルによると,うつ病患者において,健常人で認めるポジティブな認知バイアスが消失することや(抑うつの現実主義と呼ばれる),否定的に捉える負の認知バイアスが生じることが,抑うつ症状の悪化や治療抵抗性に関与している可能性が指摘されている。本稿では,自己と他者の評価に対する認知バイアスが脳内で生じる仕組みについて,機能的脳画像(functional magnetic resonance imaging:fMRI)と陽電子放射断層撮影装置(positron emission tomography:PET)を用いた研究を紹介し,うつ病症候に関わる認知バイアスの脳機能ネットワークとドーパミン神経伝達機能との関連について考察する。
著者
山田 真希子
出版者
金原一郎記念医学医療振興財団
巻号頁・発行日
pp.59-62, 2018-02-15

人間を含む社会集団を営む動物は“共感”と呼ばれる,他個体と心理的につながるための能力を持つ。われわれは,共感によって他人の痛みを理解し,相手を思いやり,救済などの利他的行動をとることが可能となる。しかし,共感は内集団に働くものとして進化したため,誰に対しても共感するとは限らない。また,痛み共感には痛みの共有による苦痛が伴うため,利他的行動を妨げる可能性もある。痛みの共感が,どのように人と人を結びつけているのか,向社会行動とどのようなかかわりを持つのかについて,これまで得られている認知神経科学の知見から概観する。そして最後に,痛みの共感が,痛みの真の“共有”であるかについての論争に触れる。