著者
山西 優二
出版者
公益社団法人 日本語教育学会
雑誌
日本語教育 (ISSN:03894037)
巻号頁・発行日
vol.155, pp.5-19, 2013 (Released:2017-02-17)
参考文献数
16

本稿は,エンパワーメントの視点から日本語教育のあり様について考察することをねらいに,まず関係性の視点からエンパワーメントを捉え,そのエンパワーメントと多文化共生の関係,多文化共生に向けての教育課題を考え,さらにはその教育課題に即したことばの教育そして日本語教育のあり様について考察したものである。関係性を基軸に,「文化」そして「ことば」を動的に捉えること,「道具としてのことば」と「対象としてのことば」を教育で関連づけることを基本的な視座としながら,学習者そして社会的なニーズに即した,エンパワーメントの視点からのこれからの日本語教育のあり様として,「目標の明示」「人間関係づくり」「場づくり」「教材開発」などの点について考察した。