著者
山西 陽子 市川 啓太
出版者
社団法人 可視化情報学会
雑誌
可視化情報学会誌 (ISSN:09164731)
巻号頁・発行日
vol.39, no.154, pp.8-13, 2019 (Released:2020-07-01)
参考文献数
15

本研究では,電界誘起気泡を用いた無針注射システムの開発を目的とし,試薬導入能力の評価と,導入能力向上のためのマイクロ気泡圧壊とそれに伴うマイクロジェットの可視化や対象zへの侵襲性評価を行った.気泡圧壊とそれに伴う衝撃波について高速度カメラとシュリーレン法による可視化を行い,現状のバブルインジェクターにおける試薬導入能力は深さ方向に400µm程度であることが確認された.このようなバブルメスをはじめとしたマイクロデバイスの開発が進むと,生物学や遺伝子工学の研究をさらに容易にし,医療現場だけでなく,薬の研究や動植物の品種改良などでも,大きな後押しになるのではないかと期待されている.マイクロナノという特異な空間では思いもよらない現象が起こることも多いため,エンジニアとしての常識にとらわれず,さまざまな現象に関心を持ちながら研究を進めていくことが,医用工学の進化に重要である.