著者
山越 聖子
出版者
一般社団法人 日本基礎理学療法学会
雑誌
基礎理学療法学 (ISSN:24366382)
巻号頁・発行日
pp.JJPTF_2022-R6, (Released:2022-09-29)
参考文献数
29

慢性腎臓病(以下,CKD)患者は,様々な合併症や廃用により身体活動量や運動耐容能が低下し,それらの低下が死亡リスクの増加と関連している。近年,CKD に対する運動療法が,身体機能や生命予後の改善のみならず,腎機能を改善することが報告されている。CKD モデルラットを用いた基礎研究において,運動による腎保護効果についての報告が散見される。しかしながら,その詳細な機序については明らかでない。我々はCKD のステージ進行に伴ってみられる腎間質線維化に着目し,運動による腎間質線維化抑制効果の機序について,腎コラーゲン代謝と腎レニン- アンジオテンシン系の関与を報告した。これらの結果から,CKD における運動は,腎間質線維化を予防し,腎不全の進行予防効果をもたらすことが期待される。