- 著者
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山路 公紀
石井 華香
- 出版者
- 特定非営利活動法人バードリサーチ
- 雑誌
- Bird Research (ISSN:18801587)
- 巻号頁・発行日
- vol.18, pp.A21-A29, 2022 (Released:2022-05-07)
- 参考文献数
- 15
ジョウビタキ Phoenicurus auroreus が日本で繁殖域を拡大している.ジョウビタキは元々樹洞営巣性であるにもかかわらず,開口部が巣箱や郵便受けよりも広い換気扇フードを営巣場所として多く選んでいた.その理由を知るために,利用された換気扇フードと利用されなかった換気扇フードの二群を,巣からの視界に注目して比較した.その結果,開口部の面積によらず,巣を視点とする垂直視野角または立体角が有意に小さい換気扇フードが利用されていた.また,換気扇フードには,巣からの視界が狭くなり,その視界に捕食者が入りにくい特性があった.これらから,捕食者から見つかりにくいことが換気扇フードが利用される理由と考えられた.立体角などをもちいて巣からの視界を調査することは,営巣場所の評価として有益である.