著者
藤井 敬之 山﨑 亮 宮地 佑希野 飯沼 今日子 吉良 潤一
出版者
日本自律神経学会
雑誌
自律神経 (ISSN:02889250)
巻号頁・発行日
vol.58, no.1, pp.163-168, 2021 (Released:2021-04-15)
参考文献数
26

神経障害性疼痛は,様々な病態を含む難治性疼痛のひとつである.近年,自己抗体が体性感覚神経系の抗原に直接結合し,疼痛を誘導する「自己抗体介在性神経障害性疼痛」といった疾患概念が提唱されるようになった.私たちは,神経障害性疼痛患者の一部において,後根神経節と三叉神経節の小型ニューロンに特異的に結合する自己抗体である抗Plexin D1抗体が存在することを世界に先駆けて発見した.抗Plexin D1抗体陽性患者では,灼熱痛や腫脹・発赤といった症状がみられるが,免疫治療により疼痛の緩和が得られており,抗Plexin D1抗体は自己抗体介在性神経障害性疼痛の新規原因抗体のひとつと考えられた.