- 著者
-
今井 久美子
大橋 洋平
柘植 知彦
吉積 毅
松井 南
岡 穆宏
青山 卓史
- 出版者
- 日本植物生理学会
- 雑誌
- 日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集 第47回日本植物生理学会年会講演要旨集
- 巻号頁・発行日
- pp.S050, 2006 (Released:2006-12-27)
Endoreduplicationは有糸分裂をせずにDNAの複製を繰り返して細胞のploidy(倍数性)が上昇する細胞周期で、特に植物では様々な組織の発生・分化に関わっており、例えばシロイヌナズナでは成熟ロゼット葉を構成する細胞のほぼ8割で起きている。植物体ではこの現象によって上昇するploidyは組織に応じてほぼ一定の範囲内に制御されているが、動物では癌化に関連して無秩序に起こる場合が多く、主に細胞周期の異常としてそれが起こる原因についての研究が進められてきた。植物においても、通常の細胞周期からendoreduplicationへの切り替わりに関する因子を中心として解明が進んでいるが、一方でその終了に関わる因子については存在の有無についても良く分かっていなかった。我々は植物サイクリンA2がendoreduplicationの終了に関わる主要因子であり、DNA複製の繰り返しを阻害していることを確認した。植物細胞はそのタイプに応じてendoreduplicationの促進・抑制因子のバランスを調整して巧妙にploidyを制御していると考えられる。