著者
岡 章生 岩本 英治 龍田 健
出版者
兵庫県立農林水産技術総合センター
雑誌
兵庫県立農林水産技術総合センター研究報告 畜産編 (ISSN:13477730)
巻号頁・発行日
no.45, pp.1-7, 2009-03

成長ホルモン(GH)遺伝子型の異なる黒毛和種去勢牛を用い、ビタミンA給与制限時期の違いが増体、肉質に及ぼす影響を調査した。供試牛は10か月齢の黒毛和種去勢牛でGH遺伝子型がAA型である広島県産(AA区)8頭とBC型である兵庫県産(BC区)10頭を用い、ビタミンA給与制限時期(12-23か月齢:12か月齢開始区、16-27か月齢:16か月齢開始区)によりそれぞれ2区に分けた。ビタミンAは制限時期以外は毎月100万IUを筋肉注射し、制限時期においても制限終了2か月前から毎月20万IUを筋肉注射した。また、各区とも23か月齢以降は飼料にビタミンA(400IU/kg濃厚飼料)を添加して与え、29か月齢でと畜した。(1)体重、体高、胸囲、増体量、飼料摂取量、枝肉重量、ロース芯面積及びバラ厚はAA区がBC区よりも有意に大きい値を示したが、脂肪交雑は両区の間に有意な差は見られなかった。(2)体重、増体量、枝肉重量、脂肪交雑、肉色、ロース芯面積、バラ厚及び皮下脂肪厚は12か月齢開始区と16か月齢開始区で有意な差は見られなかった。(3)胸最長筋脂肪の脂肪酸組成については、AA区ではオレイン酸とモノ不飽和脂肪酸割合は12か月齢開始区が16か月齢開始区よりも有意に低くなった。(4)以上のことから、ビタミンA制限開始時期が12〜16か月齢ではGH遺伝子型に関係なく増体量、脂肪交雑には影響しないことが分かった。また、早期からビタミンAを制限するとAA型の牛ではモノ不飽和脂肪酸割合が低下することが示唆された。