著者
黒﨑 久訓 髙田 康平 岡島 正樹
出版者
一般社団法人 日本救急救命学会
雑誌
救急救命士ジャーナル (ISSN:2436228X)
巻号頁・発行日
vol.3, no.2, pp.87-94, 2023-06-20 (Released:2023-07-26)
参考文献数
25

【目的】ECPR適応となり得る傷病者に対する,救急救命士による病院前アドレナリン投与が傷病者の転帰に及ぼす影響を明らかにすることを目的とする。【方法】2017年1月1日~2019年12月31日までの全国ウツタインデータを用い,傾向スコアマッチングでの解析を行った。評価項目は,神経学的機能良好予後および1カ月生存とした。【結果】傾向スコアマッチングの結果,アドレナリン投与,非投与各群で,2,047例がマッチした。多変量ロジスティック回帰分析を用いて,アドレナリン投与が転帰に与える影響を検討したところ,アドレナリン投与は,1カ月生存,神経学的機能予後とも予後不良と関連していた[1カ月生存,調整オッズ比(95%信頼区間),0.75(0.64-0.88);神経学的機能予後,0.48(0.40-0.58)]。【結論】ECPR適応となり得る傷病者に対する,救急救命士による病院前アドレナリン投与は,傷病者の神経学的機能予後,1カ月生存とも予後不良と関連していた。