著者
岡崎 佑香
出版者
一橋大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2015-04-24

平成28年4月より大河内泰樹教授(一橋大学)の研究指導の委託により、エファ・ボッケンハイマー博士(ドイツ・シーゲン大学)の指導の下で研究を遂行した。平成28年6月に、Society for Women in Philosophy(イギリス・ブライトン)の年次大会にて"Precarity as Independence in Hegel’s Phenomenology of Spirit"と題した研究報告を英語で行い、欧州のフェミニズム哲学研究者と意見交換を行った。本研究報告は、平成27年度の研究成果である論文「ヘーゲルの自立性再考――ケア論の新展開に向けて」(日本女性学会学会誌『女性学』第23号(2016年3月)に掲載済み)を基にしており、ボッケンハイマー博士と複数回の意見交換をした成果を反映させたものである。欧州のフェミニズム研究者からは本研究の実践的意義を問われたのに対して、ボッケンハイマー博士からはヘーゲルの読解に関して報告者とは異なる読解の可能性を提示された。平成28年11月に「文芸共和国の会」(福岡・北九州市立大学)にて、他分野の研究者や市民を対象とした「ヘーゲルとフェミニズム」と題した研究報告を行った。この研究報告では、ジュディス・バトラーのヘーゲル批判を批判的に参照しながら、『精神現象学』精神章において女性の欲望が共同体の再生産との関連でどのように論じられているかを考察する足掛かりを得ることができた。平成28年11月よりフリーデリケ・クスター教授(ドイツ・ヴッパータール大学)と博士論文の研究計画に関する意見交換を行った。平成29年4月より同教授の主催するコロキウムに、ボッケンハイマー博士とともに参加し、上述の研究成果をドイツ語で報告する予定である。