著者
片岡 靖子 岡崎 利治
出版者
久留米大学文学部
雑誌
久留米大学文学部紀要 社会福祉学科編 (ISSN:13455842)
巻号頁・発行日
no.8, pp.1-11, 2008-03

本論文は,社会福祉士養成過程における社会福祉援助技術演習の教授法の一つとしてデス・エデュケーション演習を試み,学生たちの援助観形成にどのような効果をもたらしたかについて明らかにすることを目的としている.分析方法としては,学生たちが記述した感想文をグラウンデッド・セオリーの手法によって分析を試み,社会福祉援助技術演習の効果性の測定,さらに今後社会福祉援助技術演習の教授法のあり方について提示を試みた.結果として,学生たちの死生観の涵養,一人称の死を体験することによる終末期患者が抱える痛み等を擬似体験し,理解を深めることに繋がった.さらに自己の死を考察することから,生きるということを再考察,自己と他者との繋がりの実感と感謝する等の能動的な感情がみられた.しかし,クライエントの人権や尊厳について,またソーシャルワーカーとしての援助のあり方等について具体的な考察を深めるには至らず,援助者としての視点の獲得や援助のあり方について考察を深めていくことができる能動的な姿勢を養成する授業展開と内容の工夫が必要であることが明らかになった.