著者
岡崎 雅嗣 国本 利文 小林 隆夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. DSP, ディジタル信号処理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.103, no.329, pp.41-46, 2003-09-22

本稿では,非定常なオーディオ信号に重畳した雑音の除去に関して述べる.スペクトル減算法(SS法)は定常的な信号である場合に効率よく機能するが,元信号がピアノのアタック部分のようにパルス性の音など非定常な成分を含んでいる場合は十分な性能を得るのが難しいという問題があった.本研究では,そのような非定常な元信号に対して,SS法の窓長を適切に選ぶことが重要であることを示し,窓長を適応しながら多段接続したSS法を提案する.また,窓長を長くしたとき問題となるプリエコーを回避する方法についても検討する.4段の多段SS法によって4種類のオーディオ信号の雑音除去を行い主観評価を行なった結果,多段SS法は単一の窓長を用いたSS法より品質が良いことがわかった.