著者
岡崎強 桑原正喜
出版者
特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
雑誌
気管支学 (ISSN:02872137)
巻号頁・発行日
vol.26, no.7, pp.609-613, 2004
被引用文献数
7

気道出血に対する治療は,原因となる肺疾患や出血量に応じて様々な治療がなされている.少量の出血では,安静臥床,止血剤の投与を行い,原因疾患があればその治療も併せて行う.しかし1回の出血が100ml以上の喀血や,出血により急性呼吸不全が進行する症例では緊急性を要し,その対応に苦慮することも多い.特に1〜2時間で400ml以上の喀血は生命に関わる場合もあり迅速な対応を要求される.喀血に対する治療には,気管支鏡下での止血,気管支動脈塞栓術(bronchial arterial embolization,以下BAEと略す),肺切除があり,適宜治療法が選択される.当科では喀血の治療の第一択にBAEを施行している.1997年から2004年2月までに60例の喀血症例にBAEを施行した.自験例を中心に適応,成績について述べる.対象 1997年11月から2004年2月までに60例にBAEを実施した.男女比の内訳は男41例,女19例で平均年齢は63.68±13.08歳(24歳〜91歳)であった.基礎疾患は気管支拡張症21例,陳旧性肺結核10例,肺癌8例,気管支動脈異常5例,特発性出血4例,アスペルギルス症3例,肺化膿症3例,その他6例(Table1)であった.