著者
岡本 優子 樋口 まち子
出版者
一般社団法人 日本地域看護学会
雑誌
日本地域看護学会誌 (ISSN:13469657)
巻号頁・発行日
vol.21, no.3, pp.6-14, 2018 (Released:2019-12-20)
参考文献数
31

目的:在日フィリピン人女性の肥満に関連する食事・運動・睡眠・ストレス対処の行動とその認識について明らかにする.方法:滞日年数5年以上で40歳以上の在日フィリピン人女性10人に半構造化面接を実施し,帰納的記述的に分析した.結果:在日フィリピン人女性は,日々の生活で【肥満関連疾患予防や健康維持のために食習慣が変容】し,【肥満関連疾患予防とともに健康維持のための運動習慣の獲得】をし,【健康であるための良眠の確保】や【日々のストレスをやり過ごす工夫】による肥満予防のための行動を認識していた.一方で,在日フィリピン人女性は,【回避できない肥満になりやすい食習慣】や【生活に運動を取り入れることが困難である要因】により運動できないこと,【肥満をもたらす睡眠行動】や,【ストレス対処としての食事】の摂取による肥満予防に反する行動も認識していた.考察:在日フィリピン人女性の肥満予防に関する相反する行動と認識は,彼女たちがフィリピンで培った行動と来日を契機に変容した行動を織り交ぜつつ,試行錯誤を繰り返しながら,日本での生活を遂行するなかでもたらされたと考えられる.結論:在日フィリピン人女性の食事・運動・睡眠・ストレス対処における肥満予防に関する行動と認識が相反するのは,フィリピンで培った行動と来日を契機に変容した行動を織り交ぜて生活していることによるものであると理解したうえで肥満予防対策を構築する必要性が示唆された.