著者
折原 紀子 佐野 真知子 藤代 岳雄 松浦 京子 岡本 昌広 鍵和田 聡 堀江 博道
出版者
The Kanto-Tosan Plant Protection Society
雑誌
関東東山病害虫研究会報 (ISSN:13471899)
巻号頁・発行日
vol.59, pp.47-50, 2012-12-01

2010年10月に神奈川県茅ヶ崎市のコマツナ炭疽病甚発生圃場内または周辺のホトケノザとスベリヒユの葉に灰色~褐色の小円斑症状を認め,罹病部からは<i>Colletotrichum</i>属菌が高率に分離された。同地のコマツナ・ホトケノザ・スベリヒユ各分離菌を相互接種した結果,各菌とも病徴を再現し,接種菌が再分離された。各分離菌の病原性,形態的特徴およびrDNA-ITS領域の塩基配列の相同性から,分離菌をいずれも<i>Colletotrichum higginsianum</i> Saccardoと同定した。以上より,コマツナ炭疽病菌がアブラナ科以外の植物に病原性を有すること,同科以外の植物に寄生する炭疽病菌がコマツナに感染することが明らかになった。また,コマツナ炭疽病菌の伝染環の一つとして周辺野草が役割を果たす可能性が示唆された。ホトケノザとスベリヒユには<i>Colletotrichum</i>属菌による病気は未記録なので炭疽病 (新称) を提案する。
著者
植草 秀敏 岡本 昌広 草野 一敬
出版者
関東東山病害虫研究会
雑誌
関東東山病害虫研究会報 (ISSN:13471899)
巻号頁・発行日
vol.2002, no.49, pp.23-29, 2002-11-01 (Released:2010-03-12)
参考文献数
6

熱水土壌処理および土壌還元処理を併用することにより, 深層部土壌に対する消毒効果を高めるための試験を行った。土壌還元処理のトマト萎凋病菌に対する影響を, コニカルチューブ内におけるモデル実験により調べた。その結果, フスマおよびショ糖を用いた土壌還元処理における菌密度低減効果は, 温度36℃以上, 土壌含水率20~25%以上, 処理期間144時間程度で認められた。フスマ熱水抽出液添加においても菌密度低減効果が認められた。淡色黒ボク土, 多腐植質黒ボク土, 灰色低地土において, 土壌還元処理による菌密度低減効果に差異はなかった。また, 汚染土壌を埋設した温室において両処理の併用試験を行い, 併用による効果が認められた。併用試験の結果はコニカルチューブを用いた試験結果とも一致した。両処理法の併用が土壌病害防除に有効であることが推察された。