著者
岡本 泰子 小室 裕明
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.115, no.12, pp.635-642, 2009 (Released:2010-05-29)
参考文献数
28

縦長型マグマだまりの膨張ないし収縮によって形成されるカルデラを,アナログ実験で再現した.アナログ地殻は上新粉(米の粉末),アナログマグマだまりはゴム風船を使用した.実験結果は以下の通り.1.マグマだまりの膨張によってドーム隆起が生じ,ドーム頂部にグラーベン状に小さな漏斗型陥没が形成される.陥没の直径は,実際のスケールでは0.8~1.6 kmなので,カルデラというにはやや小さい.2.マグマだまりの収縮によって,平坦な底を持つ浅いカルデラと,その中心部の小径陥没が形成される.実際のスケールでは,カルデラの大きさは0.9~4.4 km,深さ200~400 mとなる.このモデルは,キラウエアカルデラと相似である.3.膨張後に収縮するマグマだまりによって形成されるカルデラは,先行するドーム隆起による地殻ダイラタンシーのため,マグマだまりが収縮するだけのモデルに比べて陥没量が小さくなる.