著者
岡本 邦広 井澤 信三
出版者
The Japanese Association of Special Education
雑誌
特殊教育学研究 (ISSN:03873374)
巻号頁・発行日
vol.52, no.2, pp.115-125, 2014

本研究では、行動問題を示す発達障害児をもつ母親と教師の協議ツール(岡本・井澤, 2013)を用いた協働的アプローチを行い、特別支援学校小学部6年生に在籍する発達障害児の行動問題の低減と家庭文脈に適合した支援の提供が可能か否かの検討を第一の目的とした。また、家庭文脈に適合した支援を提供した後、協働的アプローチを終了し、行動問題に関する記録のみ、あるいは記録なしでも支援行動が維持されるか否かの検討を第二の目的とした。その結果、「着替え」が協議ツール(1)により選定され、支援手続きが協議ツール(2)~(4)により決定された。また、母親が支援を行った結果、「着替え」は短時間で完了し、家庭文脈に適合した支援を提供できた。さらに、協働的アプローチ終了後、記録の有無の条件にかかわらず、母親による支援行動は維持された。結果から、協議ツールが家庭文脈に適合した支援に寄与したこと、家庭文脈に適合した支援や教師とのやりとりにより母親の支援行動が維持されたことが示唆された。