著者
岡村 和博 森川 良孝 浜田 博
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会総合大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.1997, no.2, 1997-03-06
被引用文献数
2

本稿では全域通過フィルタを用いた画像の木構造サブバンド符号化において, 符号化特性を最適にするサブバンドシステムを設計することを目的とする. 不確定性原理によれば, 信号を眺める時間-周波数の窓 (セルと呼ぶ) の最小分解能は1/2である. この分解能を巧みに利用したのがウェーブレット分析であるが, 多くの文献で取り上げられているウェーブレット分析は, 全階層で同じフィルタを繰り返し使用する. これはどのバンドも常に同じ面積のセルで信号を解析するという意味では, 時間と周波数の分解能の有効的な利用ではあるが, 信号を表現しうる最小単位で表現するという意味ではセルを十分に有効利用していない. 以下ではまず実画像に対し3階層木符号化システムの特性が向上するよう最適化を行い, 上位階層ほどフィルタの遮断特性が緩やかになりシステム全体の積フィルタのインパルス応答は局在化していることを示す. 次に信号空間のセル面積最小という思想のもと, 最適なサブバンドシステムを設計する.