著者
岡松 暁子
出版者
法政大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011

北極海における船舶起因の海洋汚染問題については、沿岸国のうちカナダが、1970年に「北極海汚染防止法」を制定し、その適用範囲を200海里にまで拡大、通航の際の事前通告をvoluntaryからobligatoryに変更する等、自国法による規制強化を図る実行を重ねている。これに対して、アメリカは、当該水域を「国際海峡」であると主張し、国際海峡制度に関する規定を援用しながらカナダの一方的行為に抗議している。しかし、排他的経済水域内のうち他国により国際海峡との主張が行われていない水域においては、カナダ法は対抗力を獲得する状況に至っていると考えられる。