著者
岡田 久仁子 岡田 秀二
出版者
林業経済学会
雑誌
林業経済研究 (ISSN:02851598)
巻号頁・発行日
vol.52, no.2, pp.23-30, 2006-07-01

地域住民の生活や伝統的文化の保全を図りつつ森林の多面的機能の発揮を実現するためには,地域の実情に合った弾力的政策実施システムをつくるか,地域の要求を踏まえた政策策定のルートを用意することが必要である。本論文では,こうした性格をもつ政策調整装置を「政策的中間組織」と名づけ,その具体例をイギリスのニューフォレスト地区に求め,歴史的分析を加えた。伝統的組織であるヴァーダラーズは,入会権者と森林管理者の間に立って,政策実施を時代の要請や地域の実情に合わせながら,森林へのニーズと住民生活を持続あるものとし,また,ニューフォレスト委員会(New Forest Committee)は,地域のみならず国内外の政策をも受け止める役割を担い,利害関係者の意見を反映した管理計画の作成-実施-チェックシステムを実現している。