著者
陰原 聞天 荘司 輝昭 高木 徹也 岡田 健夫 拍手 宏允 渡邉 貞一 須藤 孝子 梶原 正弘 佐藤 喜宣
出版者
杏林医学会
雑誌
杏林医学会雑誌
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.245-249, 1994

1987年7月から1991年12月までの間に当法医学教室で取り扱った248件の解剖例のうち,自動車を運転中に交通事故を起こして死亡したとみられたが,解剖の結果,内因性の急死であると判明した4例について報告する。4例の平均年齢は49.5歳で,男性3例,女性1例であった。死因は心臓疾患2例,脳血管障害1例,慢性アルコール性疾患1例であった。これまでの報告では,運転中の内因性急死例は,基礎疾患を持つ高齢の男性に多い傾向があると指摘されていたが,自験例においても,3例が中高年男性であった。基礎疾患が明かであった者は1例のみで,4例中3例は生前に医療をほとんど受けていなかった。運転中の急死の予防は困難であるが,中高年者が自動車を運転する場合には定期検診の義務づけを徹底するなど,疾患の早期発見を行い,疾患があれば,適切な医療を受け死亡事故を予防をする事が重要と考えられた。