著者
岡田,いずみ
出版者
日本教育心理学協会
雑誌
教育心理学研究
巻号頁・発行日
vol.55, no.2, 2007-06-30

学習者の学習意欲を高めることは難しい。本研究は,学習者の学習意欲を高めるために介入研究を行い,その効果を検討したものである。学習意欲と関連の深いものに学習方略がある。学習意欲と学習方略の関係については「意欲があるから方略を使う」という見方がなされることが多かった。それに対して,本研究では「方略を教授されることで意欲が高まる」という仮説の下,介入を行った。対象は高校生であり,内容は英単語学習であった。英単語学習のなかでも,特に体制化方略を取り上げた。研究1では授業形態で介入を行った結果,学習方略の教授により,ある程度は学習意欲が高まったことが示されたが,十分とは言えなかった。そこで研究2では,方略の学習がより確実なものになるよう,教材を改訂し,介入を行った。また,研究2では,個人差を捉えるために検討項目として,方略志向という学習観と,英単語に対する重要性の認知が学習意欲の変化に及ぼす影響を検討した。その結果,方略志向の高低や,英単語に対する重要性の認知にかかわらず,学習意欲が高まったことが確認された。