著者
宮田 さおり 岡部 充代 櫻井 しのぶ
出版者
一般社団法人 日本地域看護学会
雑誌
日本地域看護学会誌 (ISSN:13469657)
巻号頁・発行日
vol.10, no.2, pp.40-46, 2008-03-25 (Released:2017-04-20)

本研究の目的は半導体設計者における精神的健康度とストレス要因の分析である.研究対象者は半導体設計会社に勤務する設計者273名,記名式質問紙調査を行った.回答者は245名,回収率は89.7%であった.1)GHQ28の症状の7点以上の者は,男性で132名(59.7%),女性で17名(70.8%),全体149名(60.8%)になった.またGHQ28平均値を年齢別区分でみると最も高かったのは35〜39歳で109名(70.6%)であった.2)GHQ28の下位尺度について「身体症状」の重度の者が33名(13.5%)で最も多かった.症状のある者の割合では,「社会活動の障害(80.8%)」「身体症状(71.0%)」「不眠・不安(71.0%)」が高い数値を示した.3)ストレスと感じていること(複数回答)について最も多かったのは,仕事(72.2%),対人関係(31.8%),家族(16.7%)であった.ストレスの有無とGHQ28について,GHQ28総得点および下位尺度すべてに有意差があった(p<0.001).4)仕事に関するストレス,対人関係に関するストレスとGHQ28について,GHQ28総得点および下位尺度すべてに有意差があった(p<0.05).半導体設計に特有な事業展開の早さ,テクノストレスなどの背景が考えられる.今後はそのストレス要因の詳細な分析を進めることで,半導体設計者特有のメンタルヘルス問題が明らかになると考える.