著者
岡﨑 啓介 森永 紀
出版者
日本大腸肛門病学会
雑誌
日本大腸肛門病学会雑誌 (ISSN:00471801)
巻号頁・発行日
vol.74, no.10, pp.540-549, 2021 (Released:2021-11-29)
参考文献数
32

裂肛の治療には保存的(=非手術的)治療と手術的治療がある.保存的治療には,生活指導,外用薬物治療,排便コントロール,局所用硝酸塩,カルシウムチャネルブロッカー,ボツリヌス毒素によるものがある.本稿ではこれらについて概説する.最先端の治療としては,新機序の慢性便秘症治療薬によるもの,カルシウムチャネルブロッカーによる化学的括約筋切開について,本邦の動きも含めて記載する.保存的治療は手術的治療の前段階として考えられがちであるが,手術的治療後の状態維持,再発予防にも関係するので,裂肛治療の主軸である.