- 著者
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岩下 倫子
- 出版者
- 公益社団法人 日本語教育学会
- 雑誌
- 日本語教育 (ISSN:03894037)
- 巻号頁・発行日
- vol.146, pp.18-33, 2010 (Released:2017-03-21)
- 参考文献数
- 50
本稿で報告する研究はMackey & Philp (1998) を基盤に2種の文法項目における集中言い直し訓練の効果を調査したものである。12週間にわたる母語話者との毎週1時間の会話練習に参加した5人の学習者が後半の6週間,会話練習前に15分言い直し集中訓練を受けた。訓練前後に行った算出テストの成績を比べた結果,先行研究の結果と同様に学習者の2種の文法項目の使用における正確度が向上した。しかし研究対象となった2種の文法項目が似通っているために,訓練前に正しく使用できた項目の正確度が訓練後一時的に後退したが,すぐに回復した。その後言い直し訓練の効果は六か月後に査定したテストの結果においても正確度は後退しなかった。本研究の結果は現場の教師の間違い訂正ストラテジーに応用することには無理があっても,フィードバックの効用性に新しい局面を展開する。