- 著者
-
岩井 詠美
辻本 朋美
井上 智子
- 出版者
- 公益社団法人 日本看護科学学会
- 雑誌
- 日本看護科学会誌 (ISSN:02875330)
- 巻号頁・発行日
- vol.35, pp.111-117, 2015-07-28 (Released:2015-08-01)
- 参考文献数
- 14
- 被引用文献数
-
1
目的:病院に勤務する看護師による組織市民行動の実態を調査し,看護師に特徴的な組織市民行動を明らかにする.方法:2013年2月,近隣に位置する4つの公的病院の看護師1,003名を対象に自記式質問調査を行った.結果:有効回答数は763名(76.1%)であった.『スタッフ支援』について,4項目中2項目において「時々した」「よくした」を合わせて90%を超えた.一方,『ロイヤリティへの貢献』の全3項目において「全くしなかった」「あまりしなかった」を合わせて50%以上を占めた.組織市民行動の実施の程度の因子分析(n=409)では,質向上に関する行動,環境整備,指導,協力,ケアの提供に関する行動の5因子が抽出された.抽出された因子の実施状況の差をみたところ,5因子で有意差が見られ,質向上に関する行動が最も低く,協力が最も高かった.結論:看護師は,スタッフなど個人に向けた組織市民行動をよく行い,組織に向けた組織市民行動をあまり行っていない.看護師の組織市民行動において,協力など,一般的に組織市民行動とみなされている行動のほか,質向上に関する行動や指導など,看護師に特徴的な組織市民行動がみられた.