著者
岩切 茉祐 内村 利恵 小寺 さやか
出版者
一般社団法人 日本地域看護学会
雑誌
日本地域看護学会誌 (ISSN:13469657)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.41-49, 2023 (Released:2023-04-26)
参考文献数
32

目的:発達障害児の家族を対象にした災害レジリエンスを高めるための災害準備指標を開発し,その信頼性と妥当性を検討することを目的とした.方法:災害レジリエンスの概念枠組みをもとに,先行研究から項目を収集および精選し,26項目の暫定版災害準備指標を作成した.全国の発達障害児の親の会21か所に所属する6歳以上18歳未満の発達障害児(疑いを含む)の保護者453人を対象に質問紙調査(郵送法)を実施し,指標の信頼性・妥当性を検討した.結果:回収数179人(回収率39.5%)のうち,172人から有効回答を得た.子どもの平均年齢は12.48±3.13歳であった.項目分析により2項目を削除し,探索的因子分析を繰り返し行った結果,3因子22項目で最適解を得た.因子は【家族・地域間のリスク共有】【暮らしのリスク低減】【必要物品の準備】と命名した.Cronbach’s α係数は,災害準備指標全体が0.923,3因子は0.814~0.900であり,内的整合性が認められた.災害準備指標と災害準備の自己評価の間には中等度の相関(ρ=0.625)があり,基準関連妥当性が確認された.考察:本研究で開発した災害準備指標が,信頼性および妥当性を有することが確認された.本災害準備指標は,発達障害児の家族にとって,災害準備性を振り返り,評価するツールとして有用であることが示唆された.