著者
岩堀 禎廣
出版者
一般社団法人 日本薬学教育学会
雑誌
薬学教育 (ISSN:24324124)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.2023-016, 2023 (Released:2023-06-14)
参考文献数
2

第7回日本薬学教育学会における患者参加のシンポジウムの内容について演者と参加者を代表して報告する.薬学教育関係者及び薬学生は日本薬学教育学会には全員参加を基本とすべきである.現状,残念ながら薬学人のアイデンティティは「医学の後追い」「積極的な受け身の姿勢」「現状維持」「免許を持っている」である.現状の国家試験対策の講義は全てオンライン化し,対面の講義は全てPBL化すべきである.それに合わせて国家試験を改革する必要がある.現状の均質化を目指す薬学教育の副作用として個別対応力が欠如してしまっている.個々の患者に合わせた対応のためにはイマジネーションが必要であり,それを身に着ける教育学的方法論として最も有効なのが薬学教育における患者参加である.シンポジウムはオンラインの方が有効であったため,関係者の全出席を目指す意味でも学会はオンライン開催を基本とし,講義も含めて安易に対面に戻すべきではない.
著者
関 沙織 小野寺 洋子 岩堀 禎廣 難波 利治 海老原 淑子
出版者
The Intestinal Microbiology Society
雑誌
腸内細菌学雑誌 (ISSN:13430882)
巻号頁・発行日
vol.36, no.4, pp.199-208, 2022 (Released:2022-10-28)
参考文献数
16

排便回数が週3~5回の41~61歳の健常成人20名を対象に,16種35株の乳酸菌およびビフィズス菌とその代謝物(乳酸菌生産物質)を含む豆乳発酵食品(商品名 FF16)の腸内細菌叢・排便に対する自覚症状・排便状況など,腸内環境への有用性についてランダム化二重盲検クロスオーバー比較試験により検討した.被験者にFF16(150 mg/日)を含む試験食品を摂取させたところ,日本語版便秘評価尺度(CAS-MT)において「排便回数」「排便時の肛門の痛み」「便の排泄状態」の各項目に加えて「総合評価」においても,開始時と比較して統計学的に有意な改善が確認された.また,試験食品摂取群において便のにおいと関わるなど潜在的有害菌として知られるBacteroidaceae, Sutterellaceae, Oscillospiraceaeがプラセボ食品摂取群と比較して統計学的に有意に減少し,また,感染症の減少に関わるなど潜在的有益菌として知られるDesulfovibrionaceae, Peptostreptococcaceae, Rikenellaceae, Eggerthellaceae, Actinomycetaceaeがプラセボ食品摂取群と比較して統計学的に有意に増加していた.以上の結果より,FF16の摂取により,排便に対する自覚症状の改善および潜在的有益菌の増加が確認されたことから,腸内環境の改善に有効であると考えられた.